靴を脱いで、森の中へ——梼原町立図書館「雲の上の図書館」
標高1,455mの四国カルストに抱かれた「雲の上の町」梼原。隈研吾が手がけた図書館は、館内で靴を脱いで過ごす。柱や壁から枝のように木材が伸び広がり、まるで森の中にいるような読書空間。ボルダリング設備とカフェも併設した、隈研吾建築群の中核施設。

※画像はAIによるイメージです。実際とは異なります。
高知県と愛媛県の県境、標高1,455mの四国カルストに抱かれた「雲の上の町」梼原町。町の中心部、役場の近くという好立地に、平成30年(2018年)5月、隈研吾が設計した図書館が生まれた。愛称は「雲の上の図書館」。
森のように枝分かれする柱
隈研吾が梼原と関わるようになったのは、雲の上のホテルの設計を町長から依頼された27年前にさかのぼる。以来、町内には隈研吾建築が6つ立ち並ぶことになり、この図書館はその中核施設として位置づけられている。
**このシリーズは「図書館(建物)を楽しむ」ことをテーマにしている。**雲の上の図書館が見せてくれるのは、素材と身体感覚そのものを建築にした空間だ。地元産の杉材とヒノキ材が柱や壁から枝のように無数に伸び広がり、天井には日本の伝統工法「地獄組」を応用した「四叉菱格子」が組まれている。館内に入るとまず靴を脱ぐ。木の床を素足に近い感覚で歩きながら、木の温もりと香りに包まれて過ごす——読書という行為そのものが、森を歩く体験に近づいていく。
鉄骨造一部木造、地上2階地下1階、延床面積約1,938平方メートル。館内には階段状のステージが設けられ、コンサートなどのイベントにも使われる。おしゃべりも禁止せず、カフェやボルダリング設備まで併設された、従来の「静かな図書館」のイメージを覆す空間だ。
「いろは48本棚」という独自分類
蔵書は「いろは48本棚」という梼原独自の分類方式で配架されている。「い」の棚は「梼原の風を感じる〜風土・風習」といった具合に、五十音のそれぞれにテーマが割り振られ、歩きながら思いがけない本と出会えるように工夫されている。収納可能冊数は約9万冊(開架約5.5万冊、閉架約3.5万冊)で、現在の蔵書数は約6万冊。高知県内・愛媛県内の住民であれば利用登録が可能で、貸出は1人最大10冊まで、期間は2週間以内となっている。
館内では無料の高速公衆無線LANが使え、2階のカウンター席にはPC作業・学習用の電源コンセントも設置されている。専用の隔離された自習室というわけではないが、この開放的なカウンター席で勉強や仕事をする人の姿もよく見られる。駐車場は敷地内に無料の専用駐車場があり、満車の際は近くの町役場の駐車場も利用できる。
隈研吾建築群を巡る
図書館から徒歩3分の「まちの駅ゆすはら」も隈研吾設計。茅葺き屋根が印象的な建物で、1階には地元産品を扱う市場とカフェ、2階より上は「雲の上のホテル」の客室になっている。少し足を延ばせば、木造トラス橋の上に建つ「雲の上のギャラリー・木橋ミュージアム」もある。日本の伝統的な木橋の技術を現代建築に応用した構造で、入場無料。図書館とあわせて、隈研吾建築を巡る一日が組める町だ。
アクセス
- JR土讃線 須崎駅から高知高陵交通バス(須崎〜ゆすはら線)で約70分、「四ツ角」バス停下車、徒歩約3分
- 高知自動車道 須崎西インターチェンジから車で約60分
- 駐車場あり
こんな人におすすめ
- 隈研吾建築が好きな人 — まちの駅ゆすはら、木橋ミュージアムとあわせて、町ぐるみの建築群を巡れる
- 木の温もりを感じたい人 — 靴を脱いで過ごす館内は、素材そのものを味わう読書体験ができる
- 子ども連れ — ボルダリング設備、カフェもあり、静かに過ごすだけでない一日が過ごせる
- 秘境好き・ドライブ好き — 四国カルストの麓、標高1,455mの町へのアクセス自体が旅の目的になる
周辺スポット
まちの駅ゆすはら
隈研吾設計、茅葺き屋根が目を引く複合施設。1階は地元産品を扱う市場とカフェ、2階以上は「雲の上のホテル」の客室。枝分かれした柱が森のような空間をつくる。
Google Mapsで見る ›雲の上のギャラリー・木橋ミュージアム
隈研吾設計、木造トラス橋の上に建つギャラリー。日本の伝統木橋の技術を現代建築に応用した構造で、入場無料。図書館とセットで隈研吾建築を巡るなら外せない一館。
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