ハイヒールの柱が支える、三次曲線のアーチ——多摩美術大学図書館
岐阜メディアコスモス、せんだいメディアテークに続く伊東豊雄建築3館目。正門から続くスロープをそのまま引き込み、ハイヒールのように細く絞り込まれた柱脚が三次曲線のアーチを支える。ガラスとコンクリートが一体化した、大学キャンパスの中の実験建築。

※画像はAIによるイメージです。実際とは異なります。
岐阜メディアコスモス、せんだいメディアテークに続く、このシリーズ3館目の伊東豊雄建築。多摩ニュータウン最西部、多摩美術大学八王子キャンパスの正門脇に、2007年に竣工した図書館が立っている。
スロープを引き込んだ建築
八王子キャンパスの敷地全体は1/20勾配のスロープになっている。正門を入ってすぐ、彫刻の森という彫刻広場の奥にこの図書館は位置し、学生たちが日々通り抜ける動線上にある。伊東豊雄はこの立地を生かし、正門から続く緩やかな勾配をそのまま建物内部にまで引き込んだ。
一階の約半分は「アーケードギャラリー」と呼ばれるフリースペースで、敷地と同じ1/20勾配の土間になっている。図書館とはガラスパーティションで隔てられているだけで、誰でも自由に通り抜けられる。レクチャーやギャラリーとしても使われる、開かれた空間だ。
ハイヒールの柱と三次曲線のアーチ
この図書館最大の見どころは、アーチ構造を主体とした外観だ。施工を担った鹿島建設によれば、ハイヒールのように細く絞り込まれた柱脚から、連続する三次曲線のアーチが立ち上がり、そのアーチと同じ面を曲面ガラスが覆う。ガラスとコンクリート壁面が一体化した、当時としても新たな技術的挑戦だったという。免震構造を採用し、第50回BCS賞、日本免震構造協会賞作品賞を受賞している。
キャンパス周辺にはまだ再開発途中の自然も残り、その環境を積極的に取り込んだ開放的な空間になっている。
**このシリーズは「図書館(建物)を楽しむ」ことをテーマにしている。**多摩美術大学図書館は伊東豊雄建築の中でも特に構造そのものが主役の建物だ。ハイヒールのような柱脚、そこから連続する三次曲線のアーチ、アーチと同面の曲面ガラス——蔵書を探しに行くというより、建物そのものを見に行く価値がある。
見学は事前予約制
この図書館は、あくまで多摩美術大学の学生・教職員のための施設だ。一般の見学者を受け入れてはいるが、学修スペースの見学は事前予約制で、大学の授業期間中は月に2〜3日、10:00〜11:00と11:00〜12:00の2枠のみと狭き門になっている。予約不要で見学できるオープンスペースもあるので、まずは公式サイトで最新の見学案内を確認してから訪れたい。
滞在時間の目安は長くても30分程度、館内では静粛にすることが求められる。自家用車・バイクでの来校、貸切バスでの団体来校、旅行会社等による商業的なツアーも受け付けていない。橋本駅からの路線バスでのアクセスが基本になる。
蔵書構成は和書約14万7千冊、洋書約7万8千冊、合計約22万5千冊(2025年3月末現在)。美術・デザイン・建築分野を中心に、海外展覧会のカタログや個人作家の作品目録(カタログ・レゾネ)の充実に力を入れている。
アクセス
- JR横浜線・京王相模原線 橋本駅北口から神奈川中央交通バス「多摩美術大学行」で約8分
- JR八王子駅南口から京王バスで約20分
- 自家用車・バイクでの来校不可(近隣の商業施設に停めて徒歩、という利用者もいるようだが、公式には推奨されていない)
こんな人におすすめ
- 伊東豊雄建築を巡っている人 — 岐阜メディアコスモス、せんだいメディアテークに続く3館目。三次曲線アーチと細い柱脚は必見
- 事前準備を厭わない人 — 見学は要予約・時間枠も限られるため、公式サイトでの下調べが前提になる
- キャンパス全体を楽しみたい人 — 同じ「多摩美ネットワーク構想」のアートテークとあわせて見学すると理解が深まる
周辺スポット
アートテーク
図書館・美術館とともに『多摩美ネットワーク構想』を構成する複合施設。ギャラリー、デッサン室、アートアーカイヴセンターなどからなり、卒業生や外部作家の企画展も開催される。図書館とセットで見学したい。
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