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·岐阜県高山市·約9分

明治の学び舎が、図書館としてよみがえる——高山市図書館「煥章館」

古い町並みで知られる飛騨高山に、白壁と薄緑の洋館風図書館がある。明治9年築の「煥章学校」を現代によみがえらせた煥章館は、夜9時半まで開き、アニメ『氷菓』の聖地としても知られる、観光都市・高山の顔のひとつだ。

白壁に薄緑の柱と窓枠が映える洋館風の高山市図書館煥章館のイメージ

AIによるイメージです。実際とは異なります。

明治の学び舎が、図書館としてよみがえる——高山市図書館「煥章館」

出格子の町家が連なる古い町並み、宮川沿いの朝市、幕府直轄領時代の陣屋——「飛騨の小京都」高山は、年間を通して国内外の観光客で賑わう、日本を代表する観光都市だ。

その観光エリアの一角に、白壁に薄緑の柱と窓枠が映える、明治時代の洋館のような建物がある。博物館でも記念館でもない。これが高山市図書館「煥章館(かんしょうかん)」だ。

白黒写真から、よみがえった学校

煥章館は2004年に完成した鉄筋コンクリート造2階建ての建物で、外観はフランス風木造建築。1876年(明治9年)にこの地に建てられた飛騨国最初の近代学校「煥章学校」の往時の姿を再現したものだ。復元に際しては残されていた白黒写真を参考に建てられ、白黒写真では外観色が不明だったため、旧奈良女子高等師範学校本館(国の重要文化財)を参考に、壁を白色、柱と窓枠を薄緑色としたという。

つまりこの建物は「保存された明治建築」ではなく、明治の学校を21世紀に新築でよみがえらせた図書館なのだ。「この地域は観光エリアで古い街並みが残っている。そこで街並みに合った建築を」という経緯があり、緑を使った色合いは擬洋風建築を意識したものと館長は語る。

名前の由来も味わい深い。「煥章」の語は『論語 泰伯』の一節「煥乎として其れ文章に有り」を典拠とし「地域の輝かしい文化を築く拠点」という願いを込めて名づけられた。そして煥章学校を建築したのは、高山出身の作家・瀧井孝作の祖父である大工の瀧井與六——建物と文学が、最初から縁で結ばれている。

夜9時半まで開く、観光地の図書館

驚くべきはその開館時間だ。**朝9時半から夜9時半まで、12時間ぶっ通しで開いている。**しかも旧館時代は年間70日ほどあった休館日を、毎週の休館日を廃止するなどして20日程度にまで減少させた。基本的に「行けばほぼ開いている」図書館なのだ。観光で高山に泊まった夜、夕食後にふらりと立ち寄れる。

蔵書は本館だけでも20万冊。正面玄関から入って左手には絵本などが充実した「木のくに こども図書館」があり、その奥の交流スペースは飲食が可能。図書館の入り口にはフードトラックが来ており、弁当などを買って中で食べることもできるという、観光客にも開かれた運営だ。漫画(NARUTOあり)やライトノベルのコーナーも揃っており、『氷菓』の街らしく若い世代も楽しめる。館内の情報コーナーには観光パンフレットやまち歩きガイドマップが置かれ、外国人観光客向けに11か国語のガイドマップまで用意されている。

設備面では、館内Wi-Fiが利用可能(館内掲示のパスワードを入力、1回15分×1日最大4回)。一部の閲覧席では電源も使え、パソコンの持ち込み利用ができる。ただしスマートフォンの充電やゲーム機への利用は禁止されているので注意を。

2階には高山市近代文学館が併設され、瀧井孝作、江馬修、福田夕咲、早船ちよら高山を代表する近代文学作家の展示を無料で見られる。

そして、アニメファンには言わずと知れた場所でもある。岐阜県出身の作家・米澤穂信氏の高山を舞台にした小説『氷菓』が2012年にテレビアニメ化された際、煥章館がその舞台のひとつになっており、現在でも聖地巡礼で訪れる人が後を絶たない。省エネ主義の折木奉太郎と「わたし、気になります!」の千反田えるが歩いた場所を、実際に歩ける。

古い町並み、朝市、陣屋——徒歩10分圏の贅沢

煥章館の立地は、高山観光の中心そのものだ。

徒歩5分で古い町並(さんまち通り)。出格子の町家が連なる通りには造り酒屋の杉玉が下がり、飛騨牛にぎりや団子の食べ歩きが楽しい。徒歩7分の宮川朝市は日本三大朝市のひとつで、午前中だけの開催。図書館が9時半開館なので、朝市→煥章館→古い町並みという動線が驚くほどスムーズに組める。

そして徒歩10分の高山陣屋へ。江戸幕府が飛騨を直轄領として治めた代官所で、主要建物が現存する陣屋は全国でここだけ。図書館で飛騨の歴史資料に触れてから訪れると、御白洲の砂利の意味まで違って見えるはずだ。

基本情報

| 項目 | 内容 | |---|---| | 住所 | 岐阜県高山市馬場町2丁目115番地 | | 開館時間 | 9:30〜21:30 | | 休館日 | 図書整理日(毎月末日/土日祝の場合は前日)、蔵書点検期間、年末年始 | | アクセス | JR高山駅から徒歩15分 | | 蔵書数 | 約20万冊(本館) | | 併設 | 高山市近代文学館(入場無料)・生涯学習ホール | | Wi-Fi | あり(1回15分・1日4回まで/パスワードは館内掲示) | | 電源 | あり(一部閲覧席・PC利用のみ、スマホ充電やゲーム機は不可) | | 駐車場 | あり | | 公式サイト | 高山市図書館 |

こんな人におすすめ

  • 美しい図書館建築を巡る旅をしている人
  • 『氷菓』の聖地巡礼で高山を訪れる人
  • 古い町並み・朝市・陣屋の観光にもう一枚カードを加えたい人
  • 旅先の夜、ホテルに戻る前にふらっと本を読みたい人

周辺スポット

観光

古い町並(さんまち通り)

城下町の中心、商人町として発達した上町・下町の三筋の町並み。出格子の連なる軒下、造り酒屋の杉玉、食べ歩きグルメ——「飛騨の小京都」と呼ばれる高山観光の核心。国の重要伝統的建造物群保存地区。

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徒歩5分
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宮川朝市

宮川沿いで毎朝開かれる、日本三大朝市のひとつ。地元の農産物や漬物、民芸品の露店が並び、飛騨弁の「かかさま」たちとの会話も楽しい。営業は7:00頃〜12:00(冬季は8:00頃から)。

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徒歩7分
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高山陣屋

江戸幕府が飛騨を直轄領として治めた際の代官所・郡代役所。主要建物が現存する陣屋は全国でここだけで、国史跡。御役所や御白洲、蔵などを見学でき、幕府直轄領時代の飛騨の歴史を体感できる。

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徒歩10分

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